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プラスチック切削加工における樹脂素材の反りを解説プラスチック加工のワンポイント講座


プラスチックの加工をする上で、避けて通れない問題が材料の反りです。
切削加工の現場では、加工した直後の検査時には公差範囲内に収まっているのに、翌日になると反りの影響で寸法が変化し、寸法が外れているということも起きます。
外観が悪くなるだけでなく、篏合する相手部品との干渉や隙間を生じさせてしまいます。
ここでは加工者泣かせの反りにどう対処していくかを解説します。

なぜ反りは起こるのか

反りの起こる原因は材質内にある不均一な収縮差であり、もし均一に収縮していれば起こりません。
この収縮差は材料成型時や加工時の「温度」「圧力」「強化繊維の配列」の差異によって発生する、残留応力が原因です。
以下の形状や材質、製品に反りが発生しやすいため注意が必要です。

  • 製品肉厚が不均一であり、材料内部で温度や圧力がバラついてしまうもの
  • 強化繊維の入っている材質
  • 板厚規格が無く、厚い板から作る、薄板形状の製品

残留応力と反りの関係

残留応力とは外力を除去した後も物体内に残る応力を言います。
外力が付加されると力を受けている物体は変形しますが、その外力を取り除くと物体の変形は無くなります。
それは外力と対になる応力が生じるためです。

そしてこの変形が無くなる外力の大きさには限界があり、それを降伏点といいます。
降伏点を越える外力がかかると物体には変形が残り、物体内に応力が残り続けます。
この残り続ける応力のことを残留応力といいます。

残留応力についての詳細はこちら

反りの種類

温度による反り
樹脂は温度が高いほど収縮が大きくなります。
材料の冷却時、内側に比べて外側の温度の方が急激に下がるため、材料内部で収縮率の差が起きます。
そのため不均一な残留応力の分布となります。

圧力による反り
樹脂は圧力が低いほど収縮が大きくなります。
材料の成型時、内側に比べ外側の方に圧力がかかりやすいため、材料内部で収縮率の差が起きます。
そのため不均一な残留応力の分布となります。

強化繊維の配列による反り
ガラス繊維などの強化繊維は成形時に繊維の向きが決定されます。
一般的には材料の流れる向きに添って繊維が配向されるため、繊維に対して水平方向か垂直方向かで収縮率の差が起きます。
そのため不均一な残留応力の分布となります。

反りを抑える方法

①材料にアニール処理を施す
アニール処理は加熱した熱風乾燥機や電気炉で材料を加熱した後、少しずつ温度を常温まで下げることによって、材料の冷却時に生じた残留応力を軽減することができます。

アニール処理についてはこちら

②低反りグレードの材料を選択する
一部の樹脂材料には「低反りグレード」と呼ばれるものがあります。
低反りグレードは材料メーカーが残留応力を軽減する目的で、材料や製作方法を選定したものです。
この中にはアニール処理を施したものもあります。

③応力を考慮した加工をする
材料の中央部と外側では圧力及び残留応力に差があります。
そのため切削加工において、厚板形状の材料から薄板形状を削りだす際には片側から削るのではなく、両側から厚みをひくことで応力のバランスが取れ、比較的反りにくくなります。

湯本電機では切削加工から3Dプリントまで、様々なプラスチック加工に対応しております。
対応可能な加工については「プラスチック加工・樹脂加工 加工方法一覧」へ。

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