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素材technology

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PPS


PPS

名称

PPS(ポリフェニレンサルファイド)

PPSの特徴

PPSは耐熱性と機械的強度に優れたスーパーエンジニアリングプラスチックです。
耐熱性・寸法安定性・耐薬品性・機械的強度・耐摩耗性のいずれも高い水準です。
主に切削加工と射出成形で加工されます。

連続使用温度が約220℃、融点が約278℃、ガラス転移点は約88℃です。
耐薬品性に優れており、200℃以下の環境でほとんどの薬品に耐性があります。

PPSはPEEKに近い耐熱性を持ちながらも、素材の価格はPEEKの2分の1~4分の1です。

吸水性が極めて低く、23℃浸漬24時間での吸水率は0.02%です。
吸水・吸湿による寸法変化はほとんど起こりません。

さらに熱膨張率が低く、温度変化による寸法変化も起こりにくい特徴があります。
これらにより寸法安定性に優れた素材としても利用されています。

機械的強度

引張強さ(79MPa)・曲げ強度(128MPa)に優れています。
しかし衝撃には弱く、欠けや割れが発生することがあります。

耐熱性

連続使用温度が220℃で、高温域まで高い性能を発揮します。

耐候性

PPSは耐候性が高いプラスチック素材で、紫外線などによる劣化が起こりにくいです。
そのため、屋外で露出する部品にも利用されます。

難燃性

PPSは難燃性の素材です。
燃えにくく燃焼時の発煙も少ないです。

《使用・PPS加工の際の注意点》

連続使用温度は220℃ですが、ガラス転移点は97℃と低いため、高負荷・高温下での使用には注意が必要です。
220℃よりも低い温度で変形が起こる可能性があります。

割れやすく欠けやすいため、加工中の取り扱いが難しく、バリが発生しやすい素材です。

外観

素材の上下面は光沢があります。
薄い灰色~薄い茶色

用途

製造ライン用部品、医療機器部品
半導体・液晶関連部品等

PPS加工品の使用例

自動車

耐熱性に優れ、金属よりも軽いPPSは、自動車部品の樹脂化に利用されています。
特にエンジン周りやブレーキ系統などの耐熱性が求められる箇所で検討されます。
難燃性で耐薬品性にも優れるため、エンジンルーム内の自動車部品の代替が進んでいます。

電子機器

寸法安定性に優れるPPSは、電気・電子部品にも適しています。
マイクロスイッチ、コンデンサー、LCD製造装置などの部品に利用されています。

PPSは射出成形での加工ができます。大量生産に適した加工方法である一方、少量生産には向きません。
試作を同じPPSで繰り返し行い、試作完了後に射出成形ができるという点でもメリットがあります。

半導体

耐薬品性・寸法安定性に優れることから、半導体製造向けの部品にも利用されています。
これにはイオン性不純物が少ないグレードのPPSが採用されています。

PPS加工

取扱規格表

板材 丸棒
ナチュラル色 ナチュラル色
厚み(mm) 幅×長さ(mm) 外径(φ) 長さ(mm)
0.2 500×1,000 10 1,000
0.3 500×1,000 13 1,000
0.5 500×500 20 1,000
0.8 500×500 25 1,000
1 500×500 30 1,000
2 500×500 40 1,000
6 500×1,000 50 1,000
10 500×1,000 60 1,000
15 500×1,000 80 1,000
20 500×1,000 100 1,000
25 500×1,000 120 1,000
30 500×1,000 150 1,000
40 500×1,000
50 500×1,000
60 500×1,000
80 500×1,000
100 500×1,000

取り扱いメーカー

東レ株式会社
三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズ株式会社
クレハエクストロン株式会社

その他のグレード

●PPS(耐磨耗性グレード)青

特徴 スタンダードに比べ耐磨耗性や摺動性に優れ、寸法安定性がさらに優れています。
外観 素材の上下面は光沢があります。
用途 乾燥ラインコンベア用部品、金属表面処理ライン関連部品、メッキ加工関連部品、食品加工ライン関連部品、化学プラント関連部品、精密機器部品等

●PPS(耐磨耗性グレード)青の特性

比重 1.43
推奨使用温度 常温~220 ℃
電気的特性 絶縁
寸法安定性
耐摩耗性
耐衝撃性
すべり特性

●PPS(ガラス入りグレード)黒
PPS加工

特徴 スタンダードに比べ耐磨耗性や摺動性に優れ、寸法安定性がさらに優れています。
外観 素材の上下面は光沢があります。
用途 乾燥ラインコンベア用部品、金属表面処理ライン関連部品、メッキ加工関連部品、食品加工ライン関連部品、化学プラント関連部品、精密機器部品等

●PPS(ガラス入りグレード)黒の特性

比重 1.65
推奨使用温度 常温~220℃
電気的特性 絶縁
寸法安定性
耐摩耗性
耐衝撃性
すべり特性

PPSのプラスチック加工は湯本電機にお任せください

湯本電機では、PPS切削加工によるオーダーメイドの部品加工を承ります。

当社では試作や1個からの小ロット、量産までお客様のご必要な数量で対応させて頂きます。
詳細な図面がなくても、簡単な手書きの図面でもお見積りさせていただきますので、お気軽にお問い合わせください。
試作で1個製作し、品質のご確認・コストダウンなどの提案を経て、その後量産に取り掛かるという対応もしております。
そのようなご案件がございましたら是非ご相談ください。

PPS加工、樹脂加工・プラスチック加工は湯本電機にお任せ下さい。
短納期で高品質の樹脂加工品をお届けします。

湯本電機では切削加工から3Dプリントまで、様々なプラスチック加工に対応しております。
対応可能な加工については「プラスチック加工・樹脂加工 加工方法一覧」へ。

特性

比重 1.35
耐熱温度 常温~190℃
電気特性 絶縁
寸法安定性
耐摩耗性
耐衝撃性
すべり特性

加工事例

PPS
素材のワンポイント講座

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提案事例PPSに関連する提案事例をまとめました

製造ライン部品の寸法変化問題を最小限のコストで解決

使用素材 PPSの切削加工事例

食品製造工場で使用している製造機械に不具合が発生しており、その原因がPTFE製のプラスチック部品が温度変化で寸法変化しているためだと判明しました。依頼時点では寸法安定性に優れたPEEKでの切削加工を希望でしたが、予算内で、できるだけ安く本件の部品を入手したいという相談でした。

PTFEで製作した部品が寸法不安定であったのは、PTFEの線膨張率が大きいためです。プラスチックは金属と比べると線膨張係数が一桁大きい素材です。PTFEなどのフッ素樹脂はその中でも線膨張率の大きい素材であり、機械加工や検査を行う環境では適切な温度管理を行う必要があります。PTFEは温度での寸法変化が起こりやすい材質ですが、吸水率はほぼ0%であり、吸水による寸法変化は起こりにくい材質です。

PEEKで製作する場合の課題

PEEKはプラスチック素材の中で、あらゆる面で高機能を発揮する熱可塑性樹脂です。
スーパーエンジニアリングプラスチックの代表格で、高い強度や耐熱性に加えて耐薬品性などが求められる場面で使用されます。

PEEKには食品安全性に適合したグレードもあり、耐熱性・高温耐性・機械的強度などに優れています。
しかし、すぐれた性能を持つ反面、その分材料費が高いという側面もあります。
今回の部品の加工内容では、PEEKを使用すると予算を超えてしまうことが課題でした。

PPSへの材質変更提案で予算内での製作を可能に

サイズと形状、数量の条件により加工方法を変更することでのコストダウンは難しい状況でした。
そこで、ご相談時に頂いた部品の使用環境と部品の要求スペックから材質変更によるコストダウンを図ることにしました。

今回は高温環境で連続使用できること、吸水・吸湿による寸法変化が起こりにくいことを条件に検討した結果、PPSで製作しました。

PPSはPEEKと同様にスーパーエンジニアリングプラスチックの1つで、優れた強度・耐熱性に加え耐薬品性や寸法安定性などの他の点でも長所の多い素材です。PEEKよりも耐熱温度は低いですが、価格はPEEKの4分の1から2分の1であるため、今回の予算内に収めながら要求スペックを満たすことができました。

【お客様の声】

ネットで拝見して依頼させて頂きました。今回初めての注文でしたが、価格・品質共に満足しています。他社にも同時に見積もりを依頼しましたが、予算内では不可という回答のみで、予算内で製作できる条件について検討してくれたのは御社だけでした。
またよろしくお願い致します。
(製造業/東京都)

まとめ

今回は寸法の安定化予算内での調達の2つが課題でした。

予算内に収めることができたのは、部品の要件を満たすための適切なスペックの素材を見つけることができたためです。
数量1個、手のひらサイズで難形状の部品であり、切削加工の範囲内での加工方法の変更によるコストダウンは難しい状況でした。
幸い使用環境が明確であったため、予算内に収められるように加工できる適切な素材を提案することができました。

湯本電機では、お客様のご予算などの条件に合わせて、材質・加工方法変更や設計変更提案といった「込み入った案件」を得意とします。まだ具体的に決めることができていない、といった案件でも完成までご相談頂けますので、お気軽にお問い合わせください。

今回の提案事例内のプラスチック素材紹介

PTFE

PTFE加工品

フッ素樹脂の1つで、滑らかな手触りと摺動性が特徴のスーパーエンジニアリングプラスチックです。
連続使用温度が260℃程度と高く、摩耗に強い特徴から摺動部品などの素材として使用されます。

PEEK

PEEK加工品

熱可塑性樹脂の中で最高レベルの耐熱性と機械的強度を持つスーパーエンジニアリングプラスチックです。
寸法安定性や耐薬品性に優れ、難燃性の素材と多くの部品の要件を満たすことができますが、高価な材料です。

PPS

PPS加工品

PPSは高い耐熱性に加え、耐摩耗性、寸法安定性に優れたスーパーエンジニアリングプラスチックです。
PEEKと同程度(PEEKより多少控えめ)の物性を持ちながらPEEKよりも安価です。
切削加工時にはバリが出やすい側面があるので、加工品の後処理に時間がかかることがあります。

樹脂加工・プラスチック加工は湯本電機にお任せ下さい。
短納期で高品質の樹脂加工品を大阪・東京から全国へお届けします。

湯本電機では切削加工・3Dプリントによる、様々な形状のプラスチック加工に対応しております。
対応可能な加工については「プラスチック加工・樹脂加工 加工方法一覧」へ。

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