PEI(ポリエーテルイミド)はスーパーエンプラの一種で、エンプラと呼ばれる樹脂と比べて性質面で特に優れた特色を持ち、樹脂切削加工業界では広く知られる材料です。
名前の「エーテル」はエーテル結合を意味し、比較的加工性が良好になります。
また「イミド」はイミド結合を意味し、耐熱性と強度を良くする特徴があります。
一般グレードの外観は琥珀色をしており透明度があります。
ガラスやPTFE、炭素繊維などの充填剤が入った種類のグレードは薄茶色や黒色、灰色で透明度はありません。
2000年に入ってからアメリカのGE(ゼネラルエレクトリック社)で開発された樹脂です。
日本では三菱ケミカルアドバンスドマテリアルズ社のジュラトロン、SABICジャパン合同会社のウルテム(ULTEM)などが代表的です。
PEI(ポリエーテルイミド)の性質
PEIの特徴 | 詳細 |
優れた電気絶縁性 | 広範囲の周波域、温度帯で安定した電気絶縁性を発揮します。 |
耐熱性が高い | 連続使用温度170℃と高温下での使用が可能で、広い温度域で機械的性質が安定しているという特徴があります。 また湿気にも強いです。 |
耐候性、耐放射線に優れている | 紫外線にも強いので、劣化し難いです。放射線を使用しての滅菌も繰り返し可能です。 |
耐薬品性に優れている | 一般的に非晶性樹脂は薬品に弱いのですが、PEI(ポリエーテルイミド)はアルカリや酸に触れても強度を維持します。 ただしすべてに耐性があるわけではなく、例えば塩素化炭化水素には侵されるので詳しくはお問い合わせください。 また非晶性樹脂の一般特性として有機溶剤には弱いので、注意が必要です。 |
成型性が良い | 押出成形、押し出しブロー成形、熱成形、射出成形といった加工が可能で、比較的成形性が良いことから切削加工だけでなく成形材料としても広く使用されています。 成形前には乾燥させた方が良いとされます。 |
難燃性に優れる | 燃焼させても発煙量が少なく、有毒ガスが発生しません。 |
寸法安定性が良い | 精密な精度を要求する切削部品に用いられることもよくあります。 |
耐摩耗性に劣る | 非晶性樹脂の特性でもありますが、PEI(ポリエーテルイミド)はどうしても摩耗する場所には適しませんので注意が必要です。 |
PEI(ポリエーテルイミド)の使用例
PEI(ポリエーテルイミド)は高圧蒸気や放射線に強いため繰り返して滅菌できる特性を活かして医療機器関連業界の樹脂切削加工材料に使用されています。
また汚れにくく、油に耐性があり、食品が触れるところにも使用可能ですので、食品関連の切削加工部品にも使用されています。
そして先の耐熱性や電気的特性、耐候性、難燃性といった機械的性質から自動車のエンジン部品やキャブレーター部品、電気電子半導体関連、航空部品にも使用されています。
PEI(ポリエーテルイミド)の切削部品として使用上の注意点
ノッチ感度といわれる数値が高い為、コーナーに十分Rを設けないと衝撃に弱くなり、欠けたり、割れたりしやすい。また切削加工時にバリが発生しやすい材料でもあります。
設計時に切削加工での製作の可否をご相談頂ければアドバイスさせて頂きます。
寸法安定性が良い反面、材料自体が硬い部類なので、切削加工時小径の穴や小さい溝が必要な場合は注意が必要です。
弊社でこの材料を加工する際は送り速度、切削速度を他の樹脂よりも少しだけゆっくりにして調整しています。
非晶性樹脂なので接着ができないわけではないですが、通常アクリルや塩ビのような溶着方法ではなく物理的な接合方法となります。
PEI(ポリエーテルイミド)の在庫(切削加工材料)
プラスチック切削加工を最短納期でお届けするため、PEI(ポリエーテルイミド)標準グレードを一定数在庫保管しています。
状況によっては在庫が不足する場合があります。その場合は材料手配からの納期となります。ご了承ください。
経年により若干外観が変色することがありますが、物性の変化はありません。
※ガラス繊維強化グレード、導電グレードについてはご相談くだい。
板の規格は6~50t、長さは300~1200Lがございます。丸棒はφ6~φ152まであり、長さは300~1200Lがあります。
PEI(ポリエーテルイミド)加工、樹脂加工・プラスチック加工は湯本電機にお任せ下さい。
短納期で高品質の樹脂加工品を大阪・東京から全国へお届けします。
湯本電機では切削加工から3Dプリントまで、様々なプラスチック加工に対応しております。
対応可能な加工については「プラスチック加工・樹脂加工 加工方法一覧」へ。